はじめに
今回は同人イベントの宣伝と、頒布するCDの解説記事です。
葉音と申します。1人作曲サークル"Musique au lait"を主宰しております。
この度、2019春M3(音楽同人イベント)に出展することになりました。
東京流通センター 第一展示場 B-10b です。
この記事は事前の宣伝とCD入手後の解説。1記事2役になっておトクですね。
という訳で、まずは宣伝用にクロスフェードを貼っておきます。
ちなみに、恐らく本番ではCDにQRコードを同封しております。
そこから飛んでくる方もいることでしょう。やっほー見てますかー
QRコードで曲紹介を呼び出す、なかなか現代的でいいアイデアでしょ?
【目次】
一応、自己紹介
音楽や小説を中心に創作活動をしており、ライターも少しやっています。このブログは音楽やライター関連の用途に使っております。
普段はTwitterに生息。アカウントはこちら。
なお、同人イベントでの出展は初めてです。
同人イベントに客として参加したのも、昨年の夏コミが初。秋のM3も参加しました。つまり半年ROMりました(古いな)
曲紹介……の前に、全体に関して
今回のCDですが、実はこの数年の間に作った曲から広くチョイスしています。
古いものは4年半前、新しいものは1ヶ月前。歴史を感じますね〜。
木管楽器を主体に、明るめの曲が並んでいます。金管、ピアノソロ、和風、短調……等々入れようか迷ったんですが、コンセプト的にこれが正解かなと思っています。
並びは、ざっくりとですが、朝から夜という時系列順に。
「お出かけして、公園や海やパン屋に行って、夕日を眺めて、夜のエッフェル塔」。
という訳なので、最後の"Musique au lait !"はアンコールのような立ち位置ですね。
曲紹介
(1)マルシェへお出かけ
すごく自然な感じでオープニングを担っていますが、実はこのCDで2番目に新しい曲。
「せっかく木管が多いCDなんだし、木管5重奏で幕開けにしようかな」と思い作成。
元々アンサンブルをよく書いていたので、そっちの腕を見せたかったのもあります。
ちなみにホルンの出番はこの曲が最後です。おつかれさまっ
朝の街を散歩する、朗らかな音楽ですね。
実は、大好きな画家・笹倉鉄平さんの「シェイド」という絵にインスピレーションを得ています。
マルシェに行く絵ではないですが、雰囲気として。
笹倉鉄平さんはいいぞ〜
神奈川県と兵庫県に絵画館もあります。それぞれ横浜、梅田から30分くらいなので、ご興味があれば訪ねてみてくださいな。
小組曲
「一度、とことんシンプルな曲を書こう」というコンセプト。
あとこの曲には多少経緯があります。(※点線内は読み飛ばし可能)
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4年前の3月、友人たちとクラリネットのアンサンブルをすることになり、簡単な曲を作ろうと浮かんだのが2楽章。すぐに3楽章も思いつきました。
ただ、そのときはアンサンブルに上手く落とし込めず断念(確か結局アラジンの「ホール・ニュー・ワールド」をアレンジしました)。
その後、2年前の春にクラリネット+ピアノで着手。1楽章も考えついたので、3楽章形式で完成しました。ただ、そのときには副題は無し。
今の副題を思いついたのはその半年後。春っぽさを全面に押し出した形。ただ既にお蔵入りしていた曲なので、もうどっちでもいいかなと思っていました。
それが、こんな機会を得てしまったので急遽引っ張り出してきました(笑)
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(2)小組曲 第1楽章:菜の花パレード!
非常にかわいい曲。ぱんぱかぱーん、いや、たったかたーんって感じ。
クラリネットとピアノの掛け合いが楽しい曲です。
ちなみに「!」まで入れて正式タイトルです。かわいさが増していいでしょ?(笑)
(3)小組曲 第2楽章:桜のワルツ
Twitter&SoundCloudで先行公開していた曲です。
先に述べた通り、一番最初に思いついた楽章。だから思い入れもひとしお。
ワルツと言いつつ途中は4拍子ですが、"Waltz for Debby"みたいなものです(?)
(4)小組曲 第3楽章:ツツジのポルカ
これもポルカなのは一部だけですが(以下略)
終楽章ですが、コンパクトな組曲なので重すぎない感じにしました。ただし短調の部分があったり、2楽章の引用があったりと少しドラマチックに。
あと。実は3つの楽章、全て始まり方のタイプが違いますが気付きましたか?
(5)サン=トロペの港
わかりやすい音楽の後にこういうイントロが来たら「おっ?」となるよな〜、と狙っていました(笑)
「サン=トロペの港」は、南フランスの実在の場所。
ニースやモナコの近く、と言えばなんとなくイメージがつきますが、カラフルな建物に囲まれた温暖な地中海の港……らしいです。いつか行きたい……!
わざわざここをチョイスしたのは、絵画で有名な場所でもあるからです。
ポール・シニャック「サン=トロペの港」。
好きな絵の1つであり、今回イメージしていた光景の1つでもあります。
東京・上野の国立西洋美術館に展示されています。
オーボエ+ピアノの編成で、8分の12拍子。
フランスの印象派を感じさせながら、午後の海の雰囲気を出していきました。オレンジ色の建物、白い帆船、飛び回るカモメ、寄せては返す波。
サン=トロペはイタリアにも少し近い地域なので、ちょっとだけイタリアの舟歌を感じるかもしれませんね。
ざっくり見ていくと。
前奏は海を俯瞰しているような雰囲気。あるいはカモメ。
主題は前述の通り舟歌っぽく。メロディーは中央「シ」の音の前後をぶらぶらしていますね。揺蕩う感じを出すため。
1回目の主題の後、個人的には「波の旋律」と言っているのですが、動きが細かい部分が出てきます。ここは4度進行を中心にダイナミックに。
そして、こんなにごちゃごちゃしているのに、「なぜか自然と」主題のGdur(Gメジャー)に戻ってきます。
主題を経て、真ん中の部分はCdur、間奏曲風。わざと空虚な響きにして、広がりを持たせてみました。
そして2回目の「波の旋律」。
実は1回目とスタートの調が違います。それなのに最後はちゃんと、しかも1回目よりダイナミックにGdurに戻ります。この曲で一番のアピールポイントです!!!()
あとはそのまま雰囲気をお楽しみいただければ。
(6)街角のベーカリー
フルートをフィーチャーした曲です。
「!?」という効果を狙っての曲順です。これは現物をお楽しみに (笑)
(7)薄暮の街のアダージョ
元ネタはユーフォニアム用に書いた"Adagio for Euphonium"という曲。
今回、ファゴットに似合う音楽を入れたかったことから、改稿の上、タイトルも変えて採用。
元々、夕暮れ時のイメージがあったのでしっくり来ているかな、と。
珍しくロマン派風のバラードにしました……が、特にそっちのジャンルに詳しい訳でもないので、ボロを出さないように黙っておきます()
変な仕掛けも無し。じっくりと良い感じのバラードに浸ってください。
(8)お月様とエッフェル塔
今回のメイン曲。時間も6分超えです。
なので、長々と語れるということですね!!!()
・作曲経緯
昨年の4月末、GWに1人でフランスへと旅立ちました。
そう、このM3からちょうど1年前のことです。
その初日に見た、夕焼けの中、昇り始めの月とエッフェル塔が横に並んでいる光景。
しばらく見惚れているうちに、脳内に音楽が流れ始めました。それがこの曲の冒頭部分になります。
帰国後に着手開始。とにかくパリを感じる音楽にしたくて、自分の中にあるフランス風の音楽を組み合わせていった結果、この曲が出来上がりました。
編成はクラリネット+ピアノ。4部構成で、それぞれには副題が付いています。
1. 夕暮れ、シャイヨー宮より
2. シャン・ド・マルス公園で
3. セーヌ川のロマンス
4. タワーでカンカン!
位置関係はこんな感じ。ついでに名所の位置まで書いてしまいました。これであなたもパリジャン / パリジェンヌ(?)
流れとしては、「月とエッフェル塔」を色んな方向から楽しんだ後に、タワーで終幕、となっております。
1. 夕暮れ、シャイヨー宮より
シャイヨー宮とは、エッフェル塔の横にある宮殿。最も宮殿だったのは前身の建物で、シャイヨー宮自体は1937年のパリ万博に合わせて造られた大型展示場です。
中央は展望台のようになっていて、エッフェル塔を間近&高い所から望める場所として人気があります。ここで「お月様とエッフェル塔」を見たのがこの曲のきっかけです。
Es-dur (E♭major)。最も好きな調の1つです。
冒頭の特徴的なリズムを使いながら進んでいきます。さっき言った通り、現地で浮かんだ旋律が元なんですが、実はいざ作曲を始めたら脳内イメージがイギリス音楽で……まあいいか……()
全体的にはテクニカルで込み入った感じに。展望台に人が多くて賑やかだったこと、シャイヨー宮とエッフェル塔の間に交通量の多い大通りがあったこと、辺りに起因しています。
あと、ここで覚えておいてほしいのが「ミ・シ(・ファ・レ)」という音の並び。
実は、この楽曲全体で何度か出てきます。♭や♯がついたりしながら。探してみてね。
2. シャン・ド・マルス公園で
C-dur (Cmajor)。基本的にジャズ・ワルツですが、フランスの「ミュゼット」という音楽のニュアンスを混ぜながら作りました。街角でアコーディオンとかがやっている音楽ですね。
シャン・ド・マルス公園は、エッフェル塔の麓にある公園。夜でも人々が集める、市民や観光客の憩いの場。
だから徹底的に楽しい音楽にしました。恋人どうしが向かい合って踊っているイメージ。周りでも老若男女たくさんの人々がダンシング。
ところどころ「タッターン」というリズムが出てきますが、ここは向かい合ってパートナーどうしがお辞儀をする感じ。3連符で駆け上がり「タンッ」と終わるフレーズは、お客さんにお辞儀をする感じ。……なんて思いながら作りました。作っていて本当にたのしかった〜〜
……こんなに盛り上げて、続きなんか作れるのか……?と不安になった当時()
3. セーヌ川のロマンス
セーヌ川は説明不要ですね。パリ市内一帯を横切る大きな川です。
冒頭はソロ曲らしくカデンツァ。お約束ですね。よくこんなソロ思いついたな自分。
そこからはピアノの静謐なメロディー。ロマンスの始まり。もちろんイメージは印象派、あとは昔のフランス映画。ちょっとフランス語っぽいメロディーじゃないですか?あっそうでもないですか
盛り上がってからは舟歌です。セーヌ川には夜でも結構観光船が行き交っていました。クラリネットのメロディーはなかなかお気に入り。こういう掴み所のないメロディーって演奏していて楽しいんですよね〜〜(悪趣味)
その後は「例の音の並び」があり、4楽章まで途切れることなく繋がっていきます。
4. タワーでカンカン!
速くなったところからが4楽章。いよいよエッフェル塔に乗り込みます。
この部分のイメージはエッフェル塔のエレベータ。どこかロック調ですね。エレキギター&ベースでも映えると思います(笑)
そして頂点につくと、突然C-dur (Cmajor)に。
ここからは「フレンチカンカン」が始まります。フランスのちょっとオトナなダンスショーです。軽快な音楽に合わせて踊るのですが、有名どころで言えば、運動会の曲「天国と地獄」なんかも使ったりします。
実際にはエッフェル塔の上でフレンチカンカンのショーは無いと思いますが、まあ、イメージです!(笑)
非常に愉快な舞曲です。実はもっと表打ちのリズムも強調したい(「カンカン」だから。これは本当の話)のですが、この編成だとしっくりこないためシンプルに裏打ち。シンプルといっても、めちゃくちゃ速いのでピアノは大変でしょうね(笑)
また、フレンチカンカンにありがちな感じで時々変な音をぶっ込んでいます。これがやりたかっただけ説もある。
最後はオシャレなコードで、余韻たっぷりに。終幕です。
(9) Musique au lait !
アンコール曲。直前の曲の後、空白時間が長いのはワザとです(笑)
タイトルの通り、サークルのテーマ曲的な感じですね。
木管5重奏です。ただし、アルトサックスが入っています。
今回、M3のサークルカットを友人に依頼したのですが、そこにサックスが描かれていたので「これは使うしか!」と入れてみました。
曲はラテン調。木管5重奏っていうとクラシカルなイメージがありますが、こういうことも出来るよ!というアピールになれば。
ファゴット以外の楽器には、それぞれのキャラを活かしたソロも用意しました。ファゴットはごめん!でもベースライン楽しくしたから許して!
一番最初の音が「お月様とエッフェル塔」とちょっと被っていますが、半分ワザとです。メイン曲とテーマ曲、コンセプトの統一ということで良いかな、と。
また、"M"u "si"queの頭文字2つから「ミ(Mi)」「シ(Si)」という意味合いもあります。後付け
あとは似た話で言うと、最後のメロディーライン(つまりフルート)は「ミ・ド・レ」(♭略)と鳴らしていますが、
「ミュジック(Musique)」の「ミ」
「オ(au)」の語感に近い「ド」
「レ(lait)」だから「レ」
から取っています。コレは狙っていました。この並びを考えるために一日費やしました(
せっかくのサークルのテーマ曲。今回のみで終わらせるにはもったいないし、また色々アレンジとか出来たら最高ですね。
曲紹介おわり。ここからは余談。
曲以外の部分について
サークル名について
"Musique au lait"(ミュジック・オ・レ)
オシャレでかわいい感じがいいな、と思ってのチョイスです。訳すと「ミルク入りの音楽」ですかね?
一番最初に採用を決めた「お月様とエッフェル塔」がフランス旅行時の感激を元に作ったものだったので、やはりフランス語でしょうと。全く喋れないのに使っちゃいました。Bonjour, Merci.
実は裏の意味もありますが……ヒントは日本語の語感
CD名
"Départ"
フランス語です。英語で言えばdeparture。つまり「旅立ち」ですね。
お出かけする音楽が揃っていること、そして初CDであること。2つの意味を込めています。
ジャケット
曲に合わせてパリの風景からチョイス。
表は朝のモンマルトル。CDのタイトルに合わせました。
裏は夕方のエッフェル塔。「お月様とエッフェル塔」です(よく見れば月も映ってます)。
CDの盤面の写真も朝のモンマルトルから。
ジャケット作成はもちろん初めてですが、コンセプトと合っていて良い感じでは?ちょっとジャズのCDっぽいのはご愛嬌(笑)
以上になります。
こんなに自分で語るのもどうなのかなとは思うのですが、
自分が語らなければ誰も一生気付かないことはオープンにしないと作品に気の毒!
まあ、自分自身がこういうのを読むのが好きだからなんですけどね。
という訳で、M3にお立ち寄りの皆様、ぜひ第一展示場 B-10bへ遊びに来てください!
CDを手にした方は、お楽しみいただければ幸いです!