ジンジャー・エールの生姜率

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梅雨にはJazzなラヴェルを ―Tamir Hendelman "クープランの墓"―

梅雨入りのニュースが耳に入る時期となりました。

本州も、関東甲信までの範囲が今日から梅雨入り。今日は雨に降られましたね。

 

梅雨になると、毎年のように聴く音楽があります。

Tamir Hendelman 「クープランの墓(Le Tombeau de Couperin)」

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アノトリオのJazzです。

どうでしょうか、この静謐さ、瑞々しさ。

雨降る外の世界を眺めながら、コーヒーでも一杯いただきたくなるかと思います。

 

 

これには原曲がありまして、元はモーリス・ラヴェルの作った楽曲です。

(一応補足すると、「ボレロ」の人です。……いるか?この補足)

クープランの墓」は6曲からなる組曲でして、この「前奏曲」は比較的有名ですね。

というか、私が一番好きなクラシック曲の一つかもしれません。

ああ何も語りたくない……ただあの世界に浸っていたい……()

原曲も透明感溢れる音世界が魅力的なのですが、このHendelman氏たちの演奏は、原曲の良さを活かしつつもJazzに上手く落とし込んでいるところがミソです。初めて聴いたとき、おーそう来たか!と感激した記憶があります。

というかラヴェルのコード感ってクールなJazzに近い部分ありますよね。旋法あるいはモードってやつでしょうか(不勉強)

 

 

原曲があるといいましたが、実はラヴェル自身の手で「ピアノ曲」「オーケストラ曲」の2種類作られているんですよね。

まあそれ自体は「道化師の朝の歌」「ラ・ヴァルス」のような例もあるので、特筆すべきことではないのですが、

この曲、やたらアレンジされているんですよね。

著名なのが「木管五重奏バージョン」。時々コンサートで耳にしますし、私の大学の吹奏楽サークルの部室にもありましたね。

オーボエパート棚にありましたが、勝手にパチってよくクラリネットの譜読みしてましたw

 

他にも

クラリネット6重奏バージョン」

吹奏楽バージョン」

なんと「太鼓の達人」にまであります(笑)

 

 

ですが、私が初めて聴いたのは、「サックス4重奏バージョン」。

(参考音源。(この音源を聴いた訳ではありません))

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私が大学2年生のとき、サックスパートの方々が、幕間アンサンブルのために選んだ楽曲。最初、サックスのための曲?と勘違いしたほど、似合っていたんです。

そもそも、サックス自体が印象派の音楽に適した音色。またサックスアンサンブルは意外と古典の音にも合う。ラヴェルの、新古典主義の真骨頂というべきこの曲を演奏するには、まさにうってつけの編成だったのかもしれません。

 

当時、色々とサークルで忙しくしていた私は、よく部室でこの曲を練習しているのを聴いていました。全く知らなかった、覚えにくい16分の12拍子の旋律を口ずさめるほどに、聴いていました。

そして、演奏されたのが6月のサマーコンサート。

当日は忙しく、生で演奏を聴くことはできませんでしたが。

私の中に「梅雨=クープランの墓の前奏曲」というイメージが残されました。

 

 

近年は、サックス版や本家よりも、冒頭のJazz版を聴くことが多くなりましたが。

雨の日に聴ける音楽があるというのは、なんだかお得な気分です。

長い長い雨。じめじめした空気。

すっと、うるおいに溢れた音楽が横切るだけで、世界の見え方が変わる。

Hendelman氏の楽しそうな表情を観ているだけで、豊かな気持ちになれる(笑)

 

ぜひ、騙されたと思って、一度聴いてみてください。

梅雨にはJazzなラヴェルを。Tamir Hendelman、"クープランの墓"。