ジンジャー・エールの生姜率

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辻林美穂さんの「紡いでゆくこと」が完璧な曲という話

(2018/12/07 追記・修正)

 

5月、GW真っ盛り。

結婚式の季節でもありますね。親戚友人会社の同僚、結婚式にお呼ばれされた方も多いのでは。

移動に時間がかかり、出費がかさみ、体も懐もつらいかもしれないけれど…。

そんなおめでたいイベントに際して、オススメの一曲を。

 

 

辻林美穂「紡いでゆくこと」

https://m.soundcloud.com/tsvaci/81qe2jz3xhf8 

 

 

前にも紹介した曲ではあるけれど、あれからさらに聴き込んだ上で雑記をば。

 

この曲を聴く度に、「完璧だ…」という感想がこぼれてしまう。

3分未満のポップスだが、この短い尺にして、本当に私の考える良作の条件が詰まっている。

主に2つに分けて解説。

 

[1]歌詞について

 

ざっくり言えば「唯一無二の親友が人生の転機を迎えるときの心境」となる。

同様の主題の作品はたぶんそれなりにあって、パッと思い付いたのは木村カエラの「Butterfly」。あれも名曲。

ではこの曲の歌詞の特徴は?と言えば、そのストーリー性。

3分未満でありながら、一切の過不足なしにストーリーを紡いだその手腕が本当に凄い。しかも数々の工夫が隠されていてそれも凄い。尊い

 

という訳で。

 

解 析 し て み た。

 

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時系列の対比が凄い。

適度な韻の踏み方が上手い。

自分目線と相手目線の切り替えが鮮やか。

そして内容が尊い

 

いやもうね、Bメロとか本当に凄い。

たった4小節、歌詞としては3小節分。

このたった数文字で、この曲の全てを語っている。

試しに他の部分を取っ払って、この部分の歌詞だけを読んでも、「ああ、学生時代の友人が結婚する話」と通じてしまう。

しかも、2番なんかAメロの意味深な歌詞の答え合わせになる。ああ!とリスナーに思わせた瞬間にはもうサビが始まる。この躍動感。尊い

 

 

……そこ、ガチすぎるからってドン引きしない!!

 

 

[2]コードについて

 

この人の曲は少し捻ったコードが特徴でもあるが、本楽曲でもそれは健在。

基本的にはE♭メジャーということになるが、随所に遊び心が見られる。

 

 

という訳で。

 

解 析 し(略

 
f:id:yawing_hanon_98:20180503162859j:image

 ※耳コピ力は無いので割とミスしてるかも

 ※あと7thとかの情報は割と抜けている

 

この曲に頻繁に出てくるのはFGAbBbという流れ。イントロの終わりやサビの終わりなど、徐々にエネルギーを増していくために2度ずつの上昇というのは良い手法。

しかし、イントロの最初だけはBbでなくB。ここからストーリーが始まりますよ~という感じ?で面白い。

 

Aメロはオーソドックスな進み方だが(最初の区切りが実は6小節なのは面白い)、2巡目の最初は1巡目と一小節分ズレている。そのズレからBメロの部分転調まで移行していく。

5度が続く結構ダイナミックな転調だが、メロディと歌詞の甘いフレーズのおかげで、一種ドリーミングな世界が作られている。

 

そしてBメロ!!!

Gb(F#)!!!

ここまで一小節単位で変わってきたコードが、ここだけ2小節間共通。

そもそもが浮遊感を出しやすい調(※個人の意見)だが、2小節続くおかげでさらに夢見心地に。

と思っていたら、Fmに半音下降してじんわりと現実へ、そしてBbへの5度移行で現実に戻る。勢いをつける。

そしてこの辺りの歌詞が、さっきの[1]で熱弁した部分。

Aメロとサビとの楔でありながら、最も心情的であり、一番大切な回想であり、ストーリーの核である。

それを歌詞・コード(・ギターなどの音色)で完璧に構築している。

だから、この曲は凄い。

 

…サビを語る前に力を出し尽くした感があるが。

このサビはいわゆる「王道進行(4536)」を使いたくてたまらなくなるフレーズだが、巧みにそこから外している。

しかも1回目と2回目で変えていくというこだわり。なるほどそういう技があるのか…!と参考になった。

そして、最後はエネルギーを増していくFG AbBbから、Aメロ以来のEbの終始へと着地する。

 

 

どうだっただろうか。

間違い・思い違いはあるだろうが、この曲の魅力を語り尽くせたはずだ。

何せ、これを書いているだけで全身のエネルギーを使い尽くした感がある。息切れしている。絶対、人生におけるエネルギーの使い方を再検討すべきだと思う。

 

 

時間をかけて紡がれていったストーリー。

これからも紡がれていくストーリー。

こんな素敵な曲を、もっと多くの方に聴いていただきたくて。

この曲と同じような優しい気持ちを持って、大事な人の記念日を祝福できたら、その人自身も最高に幸せだろうな、と思うから。

 

 

明日の知人の披露宴を楽しみにしている、新幹線の車窓から。