暇になると、ごく稀に「国名いくつ言えるか」大会を1人で開催することがある。
例えば病院の待ち時間。例えば長距離バスの中。例えば学生時代の退屈な授業中。
初めてこのゲームを思いついたのは、今でも覚えている、中学3年生の春休みだ。
友人たちとテーマパークに行ったときのこと。確か当時完成直後だったからだろう、待ち時間が3時間というえげつないアトラクションに並んでしまった。
友人たちがダルそうにしたり、携帯を弄っている横で、自分は黙々と国名を数え始めた。
中学3年生の春休みということは、高校受験の直後。当時社会科は得意科目だったから、当然国名もそれなりに覚えていた。
このときの記録は、150カ国くらいだったと思う。
国連加盟国縛りだったから、約3/4。結構頑張ったな中学3年生。あと友達は大事にしろよ。
それから10年近く経ち、就職して、暇な研修を受けているときにふとこのゲームを思いだした。
中学時代の栄光を回顧しつつ、密かに指を折って数え始めた。
130前後でストップした。
これは、ちょっとした挑戦心を駆り立てた。
それから、研修で暇な時間ができる度に数え、思い出せなかった国は家に帰ってから調べ、また数え、調べ、を繰り返した。
中でもアフリカが鬼門だった。なんと50カ国以上もあるのだ。絶対おかしいと思う。普通に日本で生活していたら一生のうちで10カ国くらいしか聞かないと思う。普通に生活していない自分でも、当初は30も言えなかった。
残りの20くらいを中米の島辺りに分散させても、たぶんほとんどの日本人は気付か…失礼しました何でもないです。
そして3週間が経った頃。
ついに、全国連加盟国を暗記することに成功した。
これは自分の中で、ちょっとした自信となった。
頑張れば案外覚えられるんだな、と。
そして、世界に自分の知らない国は無い、という事実。
この事実に気がついたとき、痺れるような思いだった。世界に知らない場所なんてもはやないのだ。
ただ研修は、全く頭に入らなかったけれど。
この前、久しぶりにこのゲームをやってみた。
140までは普通に行けたけど、そこからが苦戦、結局155くらいが限界だった。
中学3年生に逆戻りだ。
それは、中学3年生のときと、同じだけ頭の容量が空いているということかもしれない。
中学3年生の春ーーあの頃の自分は、直後に進学した高校で、いくらでも新しい知識を吸収することができた。
さあ、今の自分は、これからどんな知識を頭にインプットしていこうか。
稼いだお金で世界のどこへでも行けるようになった、大人の自分は。