運命の出会いなんて、人生そうそうないけれど。
音楽の世界では、案外ままある、ような気がする。
初めて彼女の音楽に出会ったのは、大阪梅田のタワーレコード。確か3年前のちょうどこの時期だった。
そこの店に行くのは本当に久しぶりで、しかもそれ以降、当面の間梅田方面を訪れる予定は無かったから、偶然も偶然だ。
試聴コーナーにCDが置かれていた。期待の新星、というような触れ込みだったかと思う。
2曲目は「坂本龍一が絶賛した」とも、ポップには書かれていた記憶がある。
どれどれ、と坂本龍一を信じて、私はヘッドフォンを装着した。
CD選択、トラック選択、読み込みまでの待ち時間。
それらを経て流れてきたのは、透き通るようなピアノの前奏だった。
そして歌が始まった瞬間。私はこのCDを買うことを決断していた。
辻林美穂「CLARTE」
坂本龍一が賛辞を送ったという、2曲目「あぶく」は、紛れもなく名曲だった。
弦楽器とピアノ主体の伴奏が作る世界は、まるで透き通る湖畔。その上を6/8系のリズムで散歩するボーカルの、声質の幻想感。そして、どこか恐ろしさすら感じる不思議な歌詞。
だがこの曲だけではない。ノリのいいロック、気の抜けたポップス、夏の名残りを歌った音楽。その多彩さに驚かされた。
春夏秋冬、何度も何度も再生して、聴く度に別の良さに気付く。そんな幸せな出会いに、感謝感謝である。
さて、せっかくなので、「あぶく」の試聴音源のリンクを貼っておく。
きっと、その世界観に新鮮味を覚えるはずだ。
https://www.soundcloud.com/tsvaci/712ncijnbh2x
と、こんなことを突然思い出したのは、さっき辻林美穂さんの新曲を聴いたからだ。
新曲と言っても昨年末に公開されていたそうで……散々大ファン面してすみません久しぶりに検索しましたすみません運命とか言ってすみません
その中で、「紡いでゆくこと」の歌詞に不覚にもぐっときたので、ご紹介させていただく。
こういう、何かの転機を描いた作品に弱いんだよねえ。最高なんだよね…………
きっと、彼女がこの曲を送った相手は、運命の出会いを果たした人だったのかな、なんて。
https://www.soundcloud.com/tsvaci/81qe2jz3xhf8
……まあ実は音楽的には、「夢のデリシャスカロリー帝国」の方がビビっときた訳だが()
あえて載せないので是非自分の耳でお聴きいただきたい。